基本的な事柄
コレステロールは食べ物から摂取されるほか、主として肝臓で合成され、細胞膜の構成や性ホルモン、副腎皮質ホルモン、胆汁などの原料になっています。健康診断で主に測定されるのは、肝臓のコレステロールを体全体に運ぶ役割を持つLDL(悪玉)と、体内の血管壁にたまったコレスレロールを肝臓に運ぶ役割を持つHDL(善玉)です。血液中のLDLコレステロ-ルや中性脂肪の値が高く、HDLコレステロールが低いと血管の内壁にコレステロ-ルが沈着し、動脈硬化を起こす原因になります。
高血圧や喫煙、肥満、糖尿病、運動不足などは、それぞれ動脈硬化の危険因子の一つといわれています。動脈硬化が起こると、脳血管障害(脳卒中)や虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)などになりやすく、ときには命にかかわることがあります。動脈硬化危険因子があり、更にコレステロ-ル値が高いほど虚血性心疾患になりやすいことが報告されています。
コレステロ-ル値が高くなる原因としては、原因となる病気のある場合(二次性)と体質(家族性)に基づく本態性のものと、加齢や食生活の乱れなどからくるものがあります。原因になる病気がある場合には、その病気を治療することが必要になります。本態性や食生活などが原因の場合は、食べ過ぎやアルコ-ル飲料の飲み過ぎを避け、適度の運動を心掛けてコレステロ-ル値を正常に保つことが、動脈硬化を予防するうえで大切です。
食生活のポイント
1. エネルギ-を取り過ぎない
肥満している場合が多いので、肥満の改善を図るうえからも、エネルギ-を取り過ぎないようにします。食事は、良く噛んでゆっくり食べ腹八分目を守りましょう。コレステロ-ルのほかに中性脂肪も高いときは、清涼飲料、菓子類など砂糖を多く含む食品や果物が多くならないようにします。
2. 動物性の脂肪を控え、植物性の油を多くする
肉類の脂の多い部分やラ-ド、バタ-、生クリームなどの動物性の脂やマーガリン、ショートニングなどの使用を控え、魚や植物性の油の割合を多くします。シュウマイやギョウザなどの肉の加工品は脂の少ない肉を使って手作りを心掛け、アイスクリームや洋菓子、スナック菓子などは極力控えましょう。
3. コレステロ-ルを多く含む食品を控える
コレステロ-ルを多く含む食品の摂取を控え、1日に取るコレステロ-ルの量は200ミリグラム以下にします。
4. 食物繊維を十分に取る
食物繊維は胆汁酸の再吸収を抑制し、糞便への排泄を増加させる働きがあるので、血中コレステロ-ルの低下に役立ちます。野菜、海藻、きのこ、こんにゃくなどを十分に食べるようにします。また、ご飯などの主食も少な過ぎないよう、一定の量を食べるようにします。いも類や果物、豆類にも多く含まれていますが、食べ過ぎに気を付けましょう。
5. お酒は適量を守って飲む
アルコールの取り過ぎは、中性脂肪や悪玉(LDL)コレステロールを増やす原因になるので、お酒は飲み過ぎに気を付け、程々を心掛けます。週に1日ないし2日は休肝日(肝臓を休ませる日)を設けるようにしましょう。
(更新 2023.12)