がんは、1981年(昭和56年)に脳血管疾患を抜いて日本人の死亡原因の1位になりました。
がんにかかる人や死亡する人は年々増加し、現在は、約2人に1人ががんにかかり、約3人に1人ががんで死亡しています。
これまでにいろいろな治療法が開発されてきていますが、予防と早期発見・早期治療が大切です。
がんの原因として、たばこやお酒、食事などの日常の生活習慣にかかわるものがあります。これらに気をつけることにより、がんリスクを下げるといわれています。現状において推奨できる科学的根拠に基づいたがん予防法として「国立がん研究センター」は、「日本人のためのがん予防法」を次のように示しています。
食事
- 食事は、偏らずバランス良く
バランス良く食べることにより、がんを含むあらゆる病気の予防につながります。 - 塩辛い食品は控えめに
味付けは薄味を心掛け、漬物や塩蔵品などの塩辛い食品を控える。食塩の摂取量を控えることは、胃がんの予防に効果があります。食塩は1日にあたり男性7.5g、女性6.5g未満を目安に控える。 - 野菜や果物は豊富に
野菜や果物は、ビタミンA・ビタミンC・カロテン・葉酸・食物繊維・ミネラルなど、がんを予防する栄養素を多く含みます。1日あたり野菜350g、果物50g合わせて400gが目安です。 - 肉の加工品(ハム・ベーコン・ソーセージ)や赤肉(牛・豚・羊など)は控えめにする
これらは、大腸がんのリスクを上げます。 - 飲食物を熱い状態で取らない
食道の炎症、がんを引き起こす可能性があります。 - お酒は、ほどほどに飲む
適度のアルコールはストレスを和らげますが、飲まない方、飲めない方が無理に飲む必要はありません。過度の飲酒はがんのリスクを上げます。
飲む場合は1日に、日本酒なら1合、ビールなら大瓶1本、焼酎なら1合の3分の2、ウイスキー・ブランデーならダブル1杯、ワインなら1杯が適量です。
日常生活
- たばこは吸わない・他人のたばこの煙をできるだけ避ける
- 適度の運動をする
普段の生活のなかで体を動かす時間を増やしましょう。 - 体重を適正な範囲に維持する
太り過ぎない、やせ過ぎない。
目標とするBMIの範囲(18歳以上)日本人の食事摂取基準(2020年版)年齢(歳) 目標とするBMI(kg/m2) 18~49 18.5~24.9 50~64 20.0~24.9 65~74 21.5~24.9 75以上 21.5~24.9 男女共通。あくまでも参考として使用すべきである。
BMI(body mass index:体格指数)は、体重(kg)を身長(m)の2乗で割って算出します。 - 肝炎ウィルス感染の有無を知り、感染している場合はその治療の措置を取る。機会があればピロリ菌検査も行う
- 定期的に検診を受ける
- 体の異常に気がついたら、すぐに受診をする
- 正しいがん情報でがんを知る
がんを予防するためには、がんのリスクをできるだけ低く抑えることが目標になります。
食品や栄養素はバランスよく取ることが大切です。情報に振り回されたり、通常手に入らないような特別に高価な食品を買う必要もありません。
がんをはじめとする生活習慣病の予防は、それほど簡単に劇的な効果が期待できるというものではありません。毎日食べる食品や毎日の生活習慣に偏りがないか見直し、できることから少しずつ改善を始めましょう。
ストレスにならない範囲で工夫し、長く続けることを基本的に考えましょう。「食事は楽しく」が基本です。
参考:「日本人のためのがん予防法」国立がん研究センター・社会と健康研究センター
(更新 2023.12)