緑茶は最高の健康茶
朝起きがけや、食事の後にじっくりと味わう一杯のお茶。心地よさが体全体に広がっていくようで何とも言えない良いものです。
お茶は今では日常飲まれていますが、現在のように広くお茶を飲むようになったのは江戸時代からで、煎茶や玉露の製法が開発されてからです。お茶はツバキ科の植物で、その葉を摘んで蒸したり、熟したりして加工します。
緑茶は不発酵茶といって、葉を摘み取ってから早めに加熱して葉の中にある酵素の働きを止め、酸化を起こさせないのです。
そのため、緑茶は、うま味成分(アミノ酸)を多く含んでいます。アミノ酸のテアニンやGABAには、リラックス効果のあることが明らかになっています。
緑茶の伝来
お茶は中国では漢の時代から解毒用として珍重され、後に飲用にと発展し、生活必需品となって人々の生活に浸透するようになりました。日本では永忠という僧が805年、留学していた唐から薬として持ち帰ったことが最初であるといわれています。
日本でお茶について最初に書かれた書物は、臨済宗の開祖、栄西が鎌倉時代に著わした「喫茶養生記」です。宋の国で見聞きしたお茶の効用をまとめたものといわれ、次のような一文で始まっています。「茶は、養生の仙薬なり、延命の妙術なり、山谷これを生ずれば、その地禅霊なり、人倫これを採ればその人長命なり」と養生の仙薬というのは、不老長寿を得ることができる、仙人の薬という意味です。当時お茶が大変効きめのある薬として扱われていたことがよく分かります。
お茶の効用
お茶の効用の多くは、お茶独特の渋みのもととなる成分で茶カテキンによるものです。発がんを抑える作用、血液中のコレステロ-ルを低下させる作用、老化を防止する作用、血圧の上昇や血糖値の上昇を抑える作用、抗ウィルス作用、虫歯を防ぐ作用、口臭を予防する作用など実に多くの効きめを持つものです。
次に挙げられるのがカフェインです。眠気を覚まし、運動中の脂肪燃焼を助ける効果があります。また、ビタミンCも多く、急須でいれたお茶1杯で1日に必要なビタミンCの10分の1を摂取することができます。ほかにも各種ビタミンが含まれ、中でも多いのはカロテンやビタミンEです。カロテンは緑黄色野菜に多く含まれ、がん予防に効果があるのではないか、と近年特に注目を浴びている栄養素です。ビタミンEも老化防止効果などで、非常に評価が高いものです。
お茶の食べ方
お茶を食べると言われると驚いてしまうかもしれませんが、お茶を使った料理の歴史は古く、『料理物語』(1643年)に記載されている「奈良茶」は、お茶の煎じ汁で米や豆などを煮たものでした。現在では、加工用の抹茶の需要が高まり、抹茶を用いた菓子が多く製造され、お茶は食材の1つとして扱われることも多くなりました。抹茶は碾茶(覆下栽培した茶葉を碾茶炉等で揉まずに乾燥したもの)を茶臼等で微粉末状にしたものですので、飲むと言いながらも、お茶の成分を丸ごと食べていることになります。
また、茶産地においてはお茶の生の葉を天ぷらにするといった食べ方もあります。タイやミャンマーでは、ミヤンやラペソーとよばれる食べるお茶があります。
煎茶の茶葉や、上級煎茶の茶殻は食べることができます。お湯でいれたお茶の中には、水溶性の成分は溶け出していますが、食物繊維やビタミンE、カロテンなどの不溶性成分は茶殻に残っています。お茶に含まれる成分の約7割は茶殻に残っており捨てられてしまいます。ですから、料理や菓子に、茶葉や茶殻を使用したり、抹茶を使用すれば、お茶の栄養素を効果的に摂取することができるのです。
お茶を使った代表的な料理といって思い浮かぶものといえば、茶粥やお茶漬けではないでしょうか。お茶の香りが茶碗全体に広がってあっさりした中にも、お腹にしみいるおいしさがあります。
お茶の茶液は、生臭みを消す効果があるので、魚や貝類を茶液で洗ったり茶液に浸けるといった利用の仕方もあります。また、茶液で小魚を煮ると骨まで柔らかくなる効果もあります。
粉末にした煎茶の茶葉や抹茶は、パスタに和えたり、天ぷらの衣に混ぜてお茶の香りを楽しむのもおすすめです。茶殻はフライパンで炒って水分を飛ばし、ごまやかつお節、醤油で味を整えると、簡単にお茶殻のふりかけができます。
ストレスの時代、飽食の時代に生きる現代人にとって心身の健康を保つうえで、日本の気候風土に馴染んできた緑茶は、生活に切り離せないものであることを改めて感じます。
(更新 2024.12)