水分
加齢とともに不足しやすくなる水分
お年寄りの食事で気を付けたいことの一つに水分の補給があります。若いときと比べて、喉の渇きの感覚が鈍くなったり、体の筋肉が衰えてくるため、今まで筋肉に蓄えられていた水分が少なくなり、また、腎臓の水や電解質(塩分)の調節機能が衰えることなどから、水分の不足を来たし、脱水状態になりやすくなります。
このため、食事や間食などから、十分に補うことが必要になります。体の水分が不足すると、脱力感などが現れ、食欲不振を招きやすく、食事が十分に食べられなくなり、栄養不足の原因になります。特に、風邪をひいて熱があったり、下痢をしたりすると脱水状態を起こしやすくなります。心臓病や腎臓病などがあって、医師から水分の制限を指示されている場合を除いて、水分の十分な補給を心掛けましょう。
水分や栄養素を取るための食事
1日に必要な水分の量は、その人の体格や気温、室温、運動量などによって異なりますが、1.5~2ℓ程度と考えられています。
通常の場合、水分は、食事から約0.8ℓ、汁物や牛乳、果物、お茶などから約1ℓ程度を取っています。
1日に必要な栄養素や水分が不足しないよう、次の事柄に気を付けましょう。
- 食事は、朝、昼、夕の3食を欠かさずに
- 毎食の食事は主食、主菜、副菜を組み合わせて
いつも同じ食べ物に偏る「ばっかり食」にならないよう、色々な食品をまんべんなく使用して、料理を作りましょう。
みそ汁などの汁物は水分の補給に役立つので、かつお節や煮干しなどでだしを良く取って薄味とし、1日に1~2杯は飲みましょう。高血圧や腎臓病などがあって医師から食塩の制限を指示されている場合は、1日1杯程度にしましょう。 - 食事や間食は、お茶などの水分を併せて
お茶などと一緒に食べると喉の通りが良くなり、水分の補給にも役立ちます。 - 間食は食事だけでは不足しやすい栄養素と水分を含む牛乳や果物などを中心に
肥満気味の方は、甘い菓子類などの食べ過ぎに注意しましょう。 - 水分は少量を回数多く
一度に多く飲むよりも、少量を回数多く飲むことが補給に役立ちます。
食物繊維
お年寄りに不足しやすい食品として、いも、野菜、果物などが挙げられます。
これらの食品はいずれも、体調を整え・活力を維持するうえで大切なビタミンやミネラルのほか、食物繊維や水分を多く含んでいます。
食物繊維は腸の動きを盛んにしたり、好ましい腸内細菌を増加させて便通を整えます。また、糖質や脂質の吸収を抑えたり、遅らせて肥満を予防し、血液中のコレステロ-ルを低下させるなどの働きがあるため、肥満や糖尿病、動脈硬化症などの生活習慣病の予防に役立ちます。
また、近年、増加傾向にある大腸がんの予防にも役立つといわれています。
毎日の食事が、繊維の少ない軟らかいものや特定の食品に偏らないよう、いも、野菜、果物などを十分に食べましょう。
繊維が多く硬い野菜は、食べやすいように小さく斜めに切ったり、火を良く通して、煮物やあえ物、いため物、汁の実などにして使用しましょう。
(更新 2024.12)