基本的な事柄
最近、硬いものが食べられない子どもやよく噛めない子どもが増加し、顎の発達が不十分であったり、歯並びの良くない子どもが増えているといわれています。「食べ物を噛んで、飲み込む」能力は、人が生まれつき持っている能力ではなく、離乳食、幼児食を通して練習によって身に付けられるものです。噛むことと健康とのかかわりについて考えてみましょう。
噛むことの効用
1.消化吸収を助け、肥満を予防
噛むことにより唾液が分泌され、食べ物を消化吸収しやすくなります。また、よく噛んでゆっくり食
べることで脳の満腹中枢が刺激され、肥満予防になります。
2.味覚の発達
よく噛むことで唾液が多く分泌されて、味覚情報の伝達を助けます。
3.脳の発達
よく噛むことで脳への血流が増し、脳の動きが活性化、記憶力や集中力のアップにつながります。
4.歯の病気予防
唾液には歯周病菌やむし歯の繁殖を抑える作用や、酸の中和・再石灰化など歯の病気予防に重要な作
用があります。
5.顎の発達
噛むことによって顎の骨や噛むための顔の筋肉が鍛えられます。顎の発達は歯並びにも良い影響を与
え、噛み合わせが良くなり、言葉の発音がはっきりします。
6.がん予防
唾液に含まれる酵素が、食物内の発がん性物質を弱める働きがあります。
咀嚼不足だと
1.唾液の量が減る
口の清潔が保ちにくくなり、むし歯や歯周病、口内炎などになりやすくなります。
2.顎の運動不足
噛むためには岨囁筋など多くの筋肉の運動が必要になりますが、噛まないと筋力が低下し、ますます
噛めなくなっていきます。
3.栄養バランスが崩れる
やわらかい食べ物を好む、食べられるものが限られるなどで、摂取する栄養素が偏る傾向になります。また、食物繊維が不足がちになり便秘になりやすくなる場合があります。
咀嚼能力の習得
離乳食の始まる5~6か月ごろから奥歯の生えそろう3歳位まで、口の機能の発達に合せた食事を食べることにより、咀嚼能力を習得していきます。
離乳食の開始期から、食べ物の硬さ(調理の形態)は段階を追って少しずつ進め、噛むことを教えることが、咀嚼能力を身に付けさせるうえでの基本になります。
噛むことを覚えないうちに、食べ物の硬さを増してしまうと、噛むことの練習ができず、飲み込むことの練習になってしまうといわれています。
また、いつまでも軟らかいものだけの食事では、噛むことを覚えることができません。
食べ方に合わせて、少しずつ硬さを増していくことが大切です。
よく噛んで食べることは、肥満の予防に役立ち、ひいては、糖尿病や心臓病などの生活習慣病の予防にもつながります。
幼児や小学校低学年の児童で、よく噛むことができない場合は、ハンバ-グやスパゲッティなどの軟らかいものだけでなく、野菜やきのこ、豆類、切り身の肉などを使った料理を増やし、よく噛んで食べる習慣が身に付くように努めましょう。(硬い豆やナッツ類は5歳以下の子どもには食べさせないようにしましょう)
資料:歯科から食育 歯とお口のことなら何でもわかるテーマパーク8020 https://www.jda.or.jp/park/eatright/、ひみこの食育標語 ひみこのはがいーぜ
消費者庁HP Vol.580 硬い豆や「ナッツ類は5歳以下の子どもには食べさせなで!
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20220128/
(更新 2024.12)