上手なお酒の飲み方

百薬の長も飲み過ぎは“毒”

   “酒飲みは、やっこ豆腐にさも似たり、初め四角で後はぐずぐず”これは、お酒を飲む人の例えです。では、どうして酔っぱらってぐずぐずになってしまうのでしょうか。それは主成分であるアルコ-ルが影響しています。アルコ-ルは麻酔作用があると同時に薬物であり、エネルギ-を産生しますが、身体に蓄積されないエネルギーです。

   下戸(げこ)の薬知らず上戸(じょうご)の毒知らずといわれますが、下戸の方は少しお酒を飲むと薬代わりになることが分かっていても飲めない。反対に上戸は飲み過ぎが毒だと知っていてもやめられないものです。お酒は適度にたしなめば、食欲を増進し、血液の循環をよくして疲労の回復に役立つほか、ストレスの解消にも効果があります。また、対人関係を良くするうえでも役立ちます。

     アルコ-ルが関係する健康障害としては、肝臓疾患、心臓疾患、糖尿病、高血圧、胃潰瘍、精神疾患などがあり、生活習慣病を誘発する原因にもなり、飲み過ぎは肥満にもつながります。

   すでに生活習慣病などがあって、医師からお酒について指示されている人の場合は、指示を守ることが大切です。
   また、アルコール処理能力から、女性の適量は男性よりも少なく、さらに高齢者は少なくすることが必要です。

上手な飲み方

1.体に優しく飲む

   食べ物は胃で消化され、小腸で吸収されますが、アルコ-ルは胃でも一部吸収されます。空腹時に強いお酒を飲むと胃がただれ、胃潰瘍の原因にもなったりします。飲む前に胃腸を保護するため、牛乳やチ-ズなどの乳製品を食べるようにします。

   つまみには良質のたんぱく質が多く含まれる魚や肉、卵、大豆製品とミネラルや食物繊維を多く含む野菜、特に緑黄色の野菜(塩分の多い漬物は控える)、海藻、きのこ、こんにゃく、いもなどをバランス良く取り合わせ、食べながら飲むようにすると胃腸や肝臓への負担を少なくし、悪酔いの防止にもなります。

   お酒を飲み過ぎたときは、利尿作用のあるカリウムを多く含む生野菜や果物、天然果汁などを取るとアルコ-ルの尿への排出に効果があります。

2.適量を守り、休肝日を

   1日の適量は、清酒なら1合、または、ビ-ルなら中瓶で1本、ウイスキ-ならダブルで1杯程度が適量です。

   夜遅くの飲酒は、肝臓でアルコ-ルを分解するのに時間がかかり、翌朝に悪い影響を残すので避けます。精神的に不安があったり、興奮していたりするときも飲み過ぎることが多くなるので避けるようにします。

   また、授乳中や風邪薬などを飲んでいるときは避けましょう。以下の表は、「節度ある適度な飲酒」
として、厚生労働省により提示されている1日平均純アルコールで約20グラム程度とされている酒類
別の目安量ですが、国際的にはわが国の基準飲酒量は突出して高くなっていますので、やはり飲みすぎ
には気をつけるようにします。

    いつも何も言わず一生懸命働き続けている肝臓のために、休肝日を設けて休ませることが必要です。毎日お世話になっている肝臓のためにいたわりの心、感謝の気持ちを込めて、せめて“日曜日は休肝日”とし、心も体もリフレッシュして、月曜日はさわやかな朝を迎えるように心掛けたいものです。

   酒のない国へ行きたくなる二日酔い。しかし、次の日にはすっかり忘れて酒、酒、酒。これでは、自分で自分の体を痛めつけていることになります。

   “酒は友達”お酒は上手に飲んで長く、楽しい人生にしたいものです。

酒類別の純アルコール約20グラムを含む量

お酒の種類

ビール 

清酒 

 ウイスキー・
ブランデー

 

 焼酎
(25度)

 

ワイン

 

アルコール度数 5%  15%  43%  25%  12%

 純アルコール20gの目安量

 500ml
中瓶1本
180ml
1合
60ml
ダブル1杯
110ml
0.6合
120ml
1杯

参考:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット
   依存症対策全国センター(久里浜医療センター)ホームページ
                               (更新 2024.12)