元気で長生きは、食事が決め手
都市化の進展や少子社会の進行などにより、核家族化が進み高齢者夫婦だけの家庭が増加しています。発育盛りの子どもがいたときは、腕によりをかけて料理を作っていたお母さんも、夫婦 2人だけになると、食事の内容も単調になり、ありあわせのもので済ませてしまう傾向にあるようです。
しかし、人生80年時代を迎え、毎日の食事が特定の食品に偏っていたり、必要な食品が不足していたのでは、いろいろな病気にかかりやすくなります。高齢者が寝たきりになる原因の上位に、脳卒中や骨折が挙げられています。また、たかが風邪ぐらいと考えて無理をして、肺炎などにかかり寝込んでしまうこともあります。
脳卒中を予防したり、丈夫な骨を保ち、また、風邪などにかからない抵抗力を維持するうえで、食事の内容や運動が大きく関わっています。毎日の食事がおろそかになっていたのでは、元気で長生きが出来ないだけでなく、生活そのものが味気ないものになってしまいます。
食事を楽しみの一つとして、ときには夫婦2人で台所に立ったり、分担したりして、豊かな食生活づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。
食事のポイント
1.食べ過ぎと低栄養に気を付ける
高齢者を食生活の面からみると、
- 食欲があり、健康で問題のない人
- 一時的に体調を崩して食欲のない人
- 病気がちで、あまり食欲のない人
に大別されます。健康で食欲のある人は、食べ過ぎに注意し、栄養のバランスを考え、糖尿病や動脈硬化症などの生活習慣病にかからないようにします。食欲のない人は、低栄養にならないように気を付けることが大切です。低栄養は老化を早め、細菌などに対する抵抗力が低下し、風邪などの感染症に かかりやすくなります。
特に、
- 歯や消化器に障害がある
- 体が不自由
- 周囲の人と交流がない
- 栄養の知識や食事に対する興味が乏しい
- 家に閉じこもりがちでほとんど体を動かさない
- 1日に食べる食品の数が少ない
- 食事を残したり抜くことが多い
などの方は低栄養になりやすいので、これらの事柄を少しでも改善しましょう。
2.ばっかり食でなく、栄養のバランスを考えて食べる
同じ食べ物に偏る「ばっかり食」にならないようにします。面倒でも、栄養のバランスを考え、基本的な料理はその都度作るようにしましょう。
魚、肉、卵、豆腐などに含まれる良質のたんぱく質は、体の構成成分として各種の臓器や血管を丈夫にする働きがあり、不足すると老化を早めます。
芋や野菜、海藻、果物などに多く含まれるビタミンやミネラルは、体調を整え活力を維持するうえで、また、食物繊維は便通を整え肥満や動脈硬化の予防などに役立ちます。
料理は、これらの食品をバランス良く組み合わせて作るようにしましょう。調理することがおっくうなときは、気分転換も兼ねてデパ-トやス-パ-などで総菜を購入することも 1つの方法です。しかし、これらの料理は味付けが濃いめであったり、好きな物やおいしい物に偏りやすくなるので、食品のバランスを考えて購入するようにします。
牛乳やヨ-グルトなどには良質のたんぱく質とカルシウムが多く含まれています。果物や牛乳、ヨ-グルトなどは、食事のときに食べるとほかの料理が十分に食べられなかったりすることもあるので、水分の補給や気分転換も含めて間食で取るようにします。
お年寄りは脱水しやすくなるので脱水の予防のうえから、水分を補うことが必要です。水分は1度に多く飲むよりも、少しずつ何度も飲む方が効果的です。
3.食べやすい料理にする
高齢者になると、歯の欠損や義歯の人が多くなります。そのため、噛む力が低下し、また、飲み込みが悪くなるので、歯の定期検診を受けます。また、食べやすくなるような工夫をして、必要な食品が不足しないようにしましょう。
- 野菜は、小さく切ったり、かくし包丁を入れ、軟らかく煮る。
- 肉は薄く切ったり、ひき肉を使用する。
- カツやフライなどの揚げ物は表面が硬いので、ソ-スの代わりに天つゆを使用する。または、だし汁に砂糖、しょうゆなどを用いて煮浸しにする。
- 煮物は喉の通りを良くするため、片栗粉を使って「とろみ」を付ける。
- 和え物は材料を軟らかく茹でて、砂糖やしょうゆ、みそ、マヨネ-ズ、ヨ-グルトなどを使って和える。酢の物はむせないように、酢を控えめに使用する。
- いため物に使用する硬い野菜は、少し茹でてからいためる、などの工夫をすると食べやすくなります。
(更新 2024.12)