18歳からの健康づくり

 2022年4月1日から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。人生の一つの節目である18歳を迎えられたのを機会に、これからの長い人生の健康について考えてみましょう。

   日本人全体の死亡原因の順位は、悪性新生物(がん)、心疾患、老衰の順ですが、20歳(20~24歳)の人の死因順位の第1位は自殺、第2位不慮の事故、第3位がんの順です。しかも第1位と第2位の合計で全死亡の約70パ-セントを占めており、この統計からも20歳の人は病気で死ぬ人は少ないということが分かります。
 参考:令和5年(2023年)人口動態統計月報年計(概数)の概況

   しかし、若い女性は容姿を気にするばかりに無茶なダイエットをして貧血や便秘になったり、男性はお酒の飲みすぎや運動不足で肥満になったりします。

   それでも、若いうちは日常生活や食事などでかなりの無理をしても、若さですぐに回復しますが、そのような生活を続けているとやがてその「つけ」が回ってくることになります。

適正な体重

   20歳前後の女性は体内に脂肪を蓄える傾向にあるのは生理的とも言えることですが、肥満ではないのに太っていると思い込んでいる人も少なくありません。

   身長に対する適正な体重は医学的には難しい問題ですが、国際肥満学会(神戸市/1990年)が最もよい指標としている指数にBMI(body mass index)があります。BMIは体重(キログラム)を身長(メ-トル)の2乗で割った値ですが、その指数が22の人が最も健康状態がよいとされています。

   ある研究者が120人程の女子学生に身長と体重を聞き、自分の体型についてどのように感じているかを質問しました。その結果、普通体重(BMI18.5以上25未満)の者のうち、約半数が自分を「太っている」と感じていることがわかりました。

   つまり、若い女性には正常体重なのに肥満と思いこんでいる「やせ願望」があり、それが無理なダイエットに走る原因と考えられます。

朝食を必ず食べること

   朝食は午前中の活力源です。昼食までボンヤリしていたのでは一人前の社会人として通用しません。30分早起きをするなどして朝食は必ず食べましょう。しっかり朝食を食べることは便通を促し便秘の解消にもなります。

   寝坊した時は、バナナ1本でも、少し時間があれば立ち食いそばの一杯だけでも何も食べないよりはマシです。

偏食しないこと

   生活習慣病(かっての成人病)は、1955年(昭和30年)の初めのころから食生活の洋風化、米の消費量の減少に伴って目立つようになりました。日本型食生活の特長は主食(ご飯)、主菜(魚を主としたおかず)、副菜(いもや野菜を主とした身体の調子を整え、便通を良くするもの)の3つが毎食そろっていることです。そして、野菜類はなるべくサラダのような生野菜ではなく、いためたり、または茹でて嵩(かさ)を小さくした野菜をたっぷり食べることです。

   野菜を加熱するとビタミンが壊れますが、短時間にサッと調理すれば損失はそれほど多くありませんし、嵩が減って沢山食べられることにより十分補われます。同時に食物繊維も十分とることができます。

   若者に人気のピザ、スナック菓子、フライドチキンなど脂肪の多い料理を続けることは生活習慣病を予防するためにもよくありません。また、健康食品やテイクアウト弁当にも便利なものがありますが、それらばかりに頼るのは注意しましょう。

たばことお酒

   たばこは百害無益、お酒は百利百害と言います。また、成人年齢は18歳に引き下げられましたが、たばことお酒は、これまでと変わらず20歳までは禁止されています。10代での喫煙や飲酒は健康への影響が大きいため、絶対にやめましょう。

   たばこは、ニコチン依存症があるので、面白半分にいたずらしているうちに習慣となり、やめるには大変な苦痛を伴うものですから初めから喫煙習慣をつけないことが賢明です。

   お酒は飲み方が大切です。お酒の適量は、個人差が大きいのでそれぞれ自分の適量を身体で覚えるしかありません。1週間に2日の休肝日もお忘れなく。

若い人も運動が必要

   高校時代までクラブ活動で結構運動していたとしても、社会に出たり大学に入ると時間的な余裕がなくなり、まったく運動しなくなる人がいます。これは健康づくりにマイナスです。

   運動はスポ-ツだけではありません。通勤通学時の歩行を増やすなど日常の生活の中で活動量を増やすことが大切です。+10(プラステン)という考えが提唱されていて、今より10分多く体を動かすことをいいます。エレベ-タ-を使わないで階段を上下する、無精しないでこまめに体を動かすなど活動的な生活をしましょう。

若さを保つ秘訣

 長い人生を健康で過ごすためには、20歳代からの生活習慣が大切です。毎日3度の食事をしっかり食べ、運動と休養を生活の一部分として大事にし、体も心も健康で生き生きした生活を送りましょう。 

 若い時は1度きりです。大いに青春を謳歌してください。

  BMIの計算方法・評価

  BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
   【例 身長160㎝(1.6m):体重58㎏の人のBMI】
    BMI=58÷1.6÷1.6=22.656 ➝ 22.7
     評価方法
    BMI 18.5未満はやせ、18.5以上25未満は普通、25以上は肥満(日本肥満学会引用)

                                     (更新 2024.12)