【事例発表】
〈これまでの検討状況の概要〉
事業は令和3年度からモデル地区実施とした。健康増進課を主管課とし、企画運営、事業計画、全体調整を行うとした。また、ポピュレーションアプローチの運営協力を高齢者福祉課、予算や後期高齢者医療団体連合会との調整協力を国保年金課が行うとした。
ポピュレーションアプローチは、5圏域あるうち、高齢化率が最も進んでいる1地区をモデル地域とした。地域の運動を中心とした高齢者の健康づくり団体である「いんざい健康ちょきん運動」を実施団体の中心とし、高齢者福祉課保健師等と健康増進課の栄養士、歯科衛生士が実施した。ハイリスクアプローチは糖尿病性腎症重症化予防対策から事業化を進めることとなった。
令和3年度及び令和4年度の課題と対応については次のとおり。
①ハイリスクアプローチとして「糖尿病性腎症重症化予防」を該当事業としていたが、対象者が少なかった。⇒「生活習慣病重症化予防」を加えた。
②医師から低栄養の方が気がかりであるとの意見があった。⇒令和4年度より低栄養対策も開始した。
③令和3年、4年度、KDB分析から尿酸値高値が多かったため、生活習慣病重症化予防の重点の一つに加えたが基準が厳しいとの意見あり。⇒令和5年度は血圧高値へ変更し、尿酸値高値は終了とした。
④令和3年度のポピュレーションアプローチの対象団体である「いんざい健康ちょきん運動」参加者はフレイルが該当しない高齢者が多い。また、全地区で実施の要望あり。⇒対象とする範囲を広げ、プログラム内容を見直した。
⑤通いの場での健康相談は時間が十分にとれなかった。⇒電話相談や保健センターへの来所相談で対応。
〈栄養士としての事業への参加状況〉
ハイリスクアプローチとして、血糖高値、糖尿病性腎症重症化、低栄養の方に面談や電話による支援を実施。高血圧の方には電話での受診勧奨を実施している。支援は申し込みのあった方対象に保健師、管理栄養士、歯科衛生士が連携して行っている。
ハイリスクアプローチの課題として、電話支援の難しさ、多重服薬、病態への理解が低いこと等があげられる。高齢者は急に悪化することもあり、現状からの悪化・下降をいかに防ぐかが大切。また生きがいへの支援、生活の質やモチベーションの維持、多職種で連携していくことが重要である。
ポピュレーションアプローチとしては、いんざい健康ちょきん運動、地域の活動団体、公民館主催の行事などで、フレイル予防や食事と歯の健康についての講話、料理教室等を保健師、栄養士、歯科衛生士と共に実施している。
ポピュレーションアプローチの課題としては、参加者はフレイルが該当しない高齢者が多いこと、会場での個別相談時間・場所の確保、5圏閾を網羅できていないことなどがあげられる。
ポピュレーションアプローチは、定期的に運動をしている高齢者の健康意識や現状を見聞きすることで、生活改善への一歩が踏み出せるため、多職種、他部署と連携することが重要である。
【グループ別意見交換会】
2グループに分かれ、それぞれ事前に準備した情報交換シートをもとに意見交換を行った。内容は、低栄養対応や健康状態不明者について、糖尿病重症化予防の対象者について、やせの方への指導内容、使用媒体、研修についてなどであった。
|